妊娠詐欺とは女性が妊娠を装い、中絶費用や慰謝料を騙し取る手口です。
詐欺の手口を知ることで被害を未然に防げます。万が一詐欺に遭った場合は正しい手段で対処しましょう。
妊娠詐欺に巻き込まれた際は慎重な行動と、信頼できる弁護士への相談が大切です。
妊娠詐欺とは?
妊娠詐欺とは女性が妊娠を偽り、相手の男性から中絶費用や慰謝料を騙し取る手口です。中絶詐欺や妊娠中絶詐欺とも呼ばれます。
SNSやマッチングアプリで被害に遭うケースも急増しています。
妊娠を告げられたターゲットは突然のことで詐欺と気付かずに、女性に金銭を支払ってしまう場合もあるでしょう。身に覚えのある後ろめたさや、社会的信用を損ねたくないという男性の心理を狙った悪質な手口だといえます。
妊娠詐欺の手口5選
妊娠詐欺の手口には、以下の5つが挙げられます。
- 出会ってすぐに体の関係を持とうとする
- 避妊具なしで性行為を求める
- 虚偽の妊娠を伝えて金銭を騙し取る
- 夫を名乗る男性から慰謝料を請求される
- 別の男性との妊娠を利用する
最近はSNSやマッチングアプリで簡単に男女が出会えるようになりました。しかし、よく知らない相手と会う場合は注意が必要です。
妊娠詐欺の手口を知り、被害に遭うリスクを減らしましょう。
1.出会ってすぐに体の関係を持とうとする
妊娠詐欺の手口の一つに、出会ってすぐに体の関係を持とうとすることが挙げられます。
詐欺師は「妊娠した」と脅迫することが目的です。金銭を効率よく要求するために一般的には考えられないスピードで体の関係を迫ります。
マッチングアプリを利用する男性は、女性との性行為が目的の場合もあるでしょう。すぐにホテルへ行こうとする女性は都合がいいと、相手に促されるままに一夜の関係を持つことは危険です。
詐欺師が体の関係を持つのは金銭要求のためです。相手をよく知らない状態での性交渉は、リスクがあると認識しましょう。
2.避妊具なしで性行為を求めてくる
妊娠詐欺の手口には、避妊具なしで性行為を求めてくることが挙げられます。詐欺のためには男性へ妊娠を信じさせることが欠かせません。
女性から「ゴムなしでしてほしい」「安全日だから」と避妊しないことを求められた場合、応じてしまう男性もいるでしょう。しかし、避妊具なしで性行為を行えば、詐欺師に中絶費用を騙し取る口実を与えてしまいます。
女性から妊娠のリスクのある行為を求めてくることは、通常では考えられません。相手から避妊具を使用しないことを積極的に求められた際は、妊娠詐欺を疑う必要があります。
3.虚偽の妊娠を伝えて金銭を騙し取る
虚偽の妊娠を伝え金銭を騙し取ることは、妊娠詐欺の手口の一つです。
肉体関係を持った数週間後に女性から連絡がきて、「妊娠をした」「お金がない」と男性に対して中絶費用や慰謝料の要求をしてくるでしょう。
男性は避妊具なしの性行為をしているため、女性からの妊娠報告を受け止めるしかありません。
「職場に報告する」「家族にバラす」などの脅迫も常套手段で、被害者は社会的信用を損なわないために金銭を支払ってしまいます。
妊娠が真実か確認することが大切です。妊娠をしている場合、証拠はいくらでも出せるはずです。相手の要求を鵜吞みにせず事実確認を行いましょう。
4.夫を名乗る男性から慰謝料請求される
妊娠詐欺では、相手の夫を名乗る男性から慰謝料を請求される場合があります。第三者を登場させることで、詐欺の成功率を高めるためです。
詐欺師は金銭の要求を断った男性に対して「実は結婚している」と伏線を張り、後日夫を名乗る男性と共に慰謝料を請求します。
騙されないためには相手の情報を知る必要があります。相手の素性や本当の夫かを確認するために、弁護士を利用する選択肢も有効です。弁護士会照会という調査方法で、相手の本名や住所を明らかにできます。
5.別の男性との妊娠を利用する
妊娠詐欺には、別の男性との妊娠を利用する巧妙な手口もあります。実際に妊娠しているため、詐欺だと見分けることが難しいケースです。
女性はエコー写真や診断書を突きつけて、「あなたの子供だ」と偽り金銭を要求します。違う男性の子供であっても妊娠自体は本当のため、証拠を用意できます。
エコー写真や診断書の真偽を素人が判断することは難しいでしょう。相手にほかの証拠を提示してもらうか、専門家への相談を検討してください。
弁護士であれば証拠が本物か、病院に情報開示を請求できます。
妊娠詐欺で逮捕された事例
妊娠詐欺には、犯人が逮捕された事例も存在します。
一方で妊娠詐欺では証拠が不十分で事件とならない場合や、相手に逃げられ逮捕に至らないケースもあるでしょう。詐欺の疑いがある際や、金銭の要求をされている場合には、迅速に警察や弁護士に相談することで被害を最小限に抑えられます。
事例①
高齢の男性が妊娠詐欺の被害に遭った事例を紹介します。
詐欺師は、60代男性に複数回にわたって「妊娠した」と嘘のメールを送り、114万円もの現金を騙し取りました。
高齢男性の「若い女性と出会いたい」という欲求をうまく利用し、ターゲットにしています。妊娠詐欺では、年齢を重ねて金銭的に余裕があったり、家庭を持っていたりといった脅迫しやすい相手がターゲットにされる場合があります。
詐欺に遭った際はすぐに金銭の支払いには応じず、慎重な対応をしましょう。事実確認を行うことで被害を防げます。
上越警察署は19日、詐欺の容疑で上越市下門前在住の無職23歳の女を逮捕した。
警察によると、女は今年1月初旬から2月下旬までの間、上越市在住の60代男性に対し「妊娠した」などと嘘のメールを複数回送信するなどし、妊娠中絶費用などの名目で4回にわたり、現金114万円をだましとったもの。
引用:「妊娠した」詐欺メールで現金114万円だまし取る 上越市23歳女逮捕|上越妙高タウン情報
事例②
オレオレ詐欺の手口を利用して高齢者を騙した妊娠詐欺の事例です。
事例では80歳の高齢男性に対して、息子と名乗る男性から「女性を妊娠させてしまった」と連絡があり、示談金を工面してほしいと頼まれました。被害者は相手が息子だと疑わず要求された示談金を騙し取られてしまったケースです。
自身に心当たりがなくても、息子を騙った人物から相談を受ければ焦ってしまうでしょう。我が子に何かあれば、解決してやりたいと思う親心を巧みに利用する悪質な事例です。
電話の相手を確認せずに金銭を渡してはいけません。詐欺だとわかった場合は、適切な窓口へ相談しましょう。
柏署は4日、柏市のアルバイトの男性(80)が現金50万円をだまし取られる電話de詐欺事件が発生したと発表した。
同署によると、2月26日~27日、男性に息子をかたる男から「同僚の女性を妊娠させてしまい、夫に払う示談金が必要」などとうその電話が複数回あった。男性は指示された埼玉県春日部市の路上で、弁護士の知り合いをかたる男に現金を手渡した。
息子に確認して詐欺と分かり、男性が同署に相談した。
引用:「同僚の女性を妊娠させた」とうその電話 柏の80歳アルバイト男性、50万円詐欺被害(千葉日報オンライン)|Yahoo!ニュース
妊娠詐欺に遭った場合の対処法
妊娠詐欺に遭った場合の対処法として、以下の5つが挙げられます。
- 慎重に対応する
- やり取りの履歴を残しておく
- 事実確認が取れるまで支払わない
- 警察に相談する
- 弁護士に相談する
詐欺に遭わないためには焦らずに事実確認を行い、自身で解決しようとせずに警察や弁護士に相談することが望ましいでしょう。
誰にも相談できず不安な気持ちの方もいるかもしれません。適切な窓口に相談することで他人に知られず、被害を解決できます。
慎重に対応する
妊娠詐欺では、慎重な対応が重要です。
一晩だけの関係のはずだった女性から突然「妊娠した」と連絡があった場合、男性は動揺するでしょう。家庭を持っている方や、恋人がいる場合は必ず隠し通さねばならないと焦るかもしれません。
ろくに調べず詐欺師に金銭を支払うと追加の要求をされたり、逃げられたりする可能性があります。
慎重に対応することで詐欺に遭う前に対処ができるでしょう。被害に遭ってしまっても、冷静さを保てれば損失を減らせます。
やり取り履歴を残しておく
妊娠詐欺では、女性とのやり取り履歴を残しておくことが対処法の一つです。相手との連絡の記録を残すことで、詐欺とわかった際に自身を守る証拠になります。
SNSやマッチングアプリの履歴、妊娠を告げる様子、金銭の受け渡し状況などは重要な情報です。詐欺だと気付いた場合は、些細なやり取りでも必ず証拠を残しておきましょう。
警察や弁護士に相談する際にも、記録をもとに捜査や示談交渉が進みます。遊びの関係の女性とのやり取りは削除したいかと思いますが、残しておくことが大切です。
事実確認が取れるまでは支払わない
妊娠詐欺に遭った場合、事実確認が取れるまでは金銭を支払わないことも対処法として挙げられます。相手の妊娠報告を盲信せずに、画像や写真などの証拠を提示してもらいましょう。
ただし、妊娠検査薬の画像やエコー写真などは偽装できます。確実に自身の子供であるとわからない限りは金銭の支払いはしてはいけません。
女性の金銭の要求に対してすぐに支払いをしてしまう方は、詐欺師からいいカモだと思われます。理由をつけてさらなる費用の要求や、脅迫が続く場合があります。詐欺師に「簡単に騙せない相手だ」と思わせましょう。
警察に相談する
妊娠詐欺では、警察への相談も有効な対処法の一つです。詐欺師に対して、「逮捕してもらいたい」「法的な罰則を与えてほしい」という場合は、警察に相談する必要があります。
詐欺や脅迫に遭った事実を証明すれば、事件の捜査に乗り出してもらえるでしょう。
ただし警察は事件の捜査は行いますが、奪われた金銭を取り戻すことはできません。
警察へ相談した場合、警察署へ出向いたり事情聴取に応じたりする必要があります。同居中の家族や恋人がいる場合には、異変に気付かれるリスクがあります。
弁護士に相談する
弁護士への相談も、妊娠詐欺に遭った場合に推奨される対処法です。弁護士には守秘義務があるため、周りに知られたくない方は、弁護士を利用しましょう。
弁護士は間に入るだけで詐欺師に対して牽制になります。刑事告訴や訴訟も辞さない姿勢で交渉することで、相手は詐欺事件と立証され逮捕を避けるために話を穏便に進めざるを得ません。
詐欺に気付いて自身で示談交渉をするケースもありますが、詐欺師はあらゆる手段でターゲットから金銭を騙し取ろうとするでしょう。
交渉がうまくいかずに家族や職場に嫌がらせをされたり、個人情報をネットに書き込まれたりするリスクがあります。新たな被害を避けるためにも、弁護士の活用をおすすめします。
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