仮想通貨詐欺は年々増加傾向にあり、各省庁や警察が注意喚起を行っています。
仮想通貨詐欺を未然に防ぐには、手口や対策について知識を身につけることが大切です。被害に遭った場合は早急な対応が必要なため、対処法を覚えておきましょう。
仮想通貨詐欺の手口6選
仮想通貨詐欺の主な手口は、次の6つです。
- ポンジ・スキーム
- フィッシング詐欺
- 市場のパンプ&ダンプ
- 偽サイト・アプリの設置
- 著名人を利用した偽の宣伝
- ICO詐欺
仮想通貨詐欺の手口を知ることで被害を未然に防げます。
ポンジ・スキーム
仮想通貨詐欺の代表的な手口の一つに、ポンジ・スキームと呼ばれる手法があります。
ポンジ・スキームとは、出資を募りながら運用はせずに元本の一部を顧客に分配して信用を獲得しお金を騙し取る手口です。新たな出資者が継続的に現れなければ、最終的に資金が枯渇するため詐欺師は潮時を見て逃亡します。
ポンジ・スキームでは、元本保証や高利回りを謳って相手を煽り出資を募ります。最初は少額の投資から始めさせ、利益と偽った分配金を配当して追加の出資を引き出すため注意しましょう。
フィッシング詐欺
フィッシングによる仮想通貨詐欺の手口があります。フィッシング詐欺とは、インターネットを利用してクレジットカードや銀行口座などの個人情報を奪い、お金を騙し取る手口です。
仮想通貨詐欺師は、公式の暗号資産取引所や投資サイトを装ってメッセージを送ってきます。メッセージ内に偽のURLを記載し、ウォレットにアクセスするための情報を入力させて仮想通貨を盗もうとします。
フィッシング詐欺に用いられるアドレスやURLは本物と微妙に異なるため、安易にクリックせずに送信元の信用性を確認することが大切です。
市場のパンプ&ダンプ
仮想通貨詐欺の手口の一つに、市場のパンプ&ダンプがあります。市場のパンプ&ダンプとは、不正な情報操作によって仮想通貨の価格を一時的に上昇させ一気に売り払う手口です。
詐欺師は特定の仮想通貨の価値を釣り上げるためにソーシャルメディアで誇張広告を流します。多くの投資家がチャンスと感じて購入した結果、需要が高まり取引価格が上昇したところで大量に売却し利益を得ます。
詐欺師の売却後に仮想通貨の価値が暴落するため注意しましょう。
偽サイト・アプリの設置
仮想通貨詐欺では、偽サイトやアプリを設置する手口があります。正規の取引所に偽装したサイトやアプリを設置することで、ユーザーに口座を開設させて個人情報を盗み取ろうとします。
偽サイトやアプリはドメインの一部に違いがある以外は本物と酷似しており、見分けることが非常に困難です。誤ってログインや入金をすると個人情報やお金を騙し取られてしまいます。
個人情報の流出は二次被害につながる原因となります。利用するサイトやアプリが正規のものであるかしっかりと確認してください。
著名人を利用した偽の宣伝
著名人を利用した偽の宣伝を行い、仮想通貨詐欺を働く手口があります。
詐欺師はターゲットからの注目を集めるために、芸能人やインフルエンサーなどから支持を得ているとアピールします。ビルゲイツのアカウントがハッキングされて利用されたケースもあるため、注意が必要です。
アカウントの乗っ取り以外にも「著名人推薦」を騙ったり関係者を装ったりする事案もあります。著名人から勧められたからといって、安易に投資することは危険です。
ICO詐欺
仮想通貨詐欺にはICOを利用した手口があります。ICOとは、企業が独自の仮想通貨を発行して投資家から資金を調達する手法です。
ICOは、事業が成功すれば発行された仮想通貨の価値が上昇し投資家に分配される仕組みです。正式なプロジェクトも存在しますが、ICOの大半は詐欺である可能性が高いといわれます。
詐欺業者は偽の事業所を借りたりマーケティング資料を作成したりし、投資家を巧妙に騙すため注意しましょう。
仮想通貨詐欺に遭わないための対策
仮想通貨詐欺に遭わないための対策は、以下のとおりです。
- ウォレットの保護を徹底する
- 仮想通貨の理解を深め十分に調査する
- 金融庁の登録やホワイトリストを確認する
- 虚偽広告やコールドコールに注意する
仮想通貨詐欺被害を防止するために、対策方法に関する知識を身につけましょう。
ウォレットの保護を徹底する
仮想通貨詐欺に遭わないための対策の一つが、ウォレットの保護を徹底することです。
ウォレットとは、公開鍵と秘密鍵を用いた暗号システムによって仮想通貨を保管する仕組みです。
保管された仮想通貨にアクセスするためのコードである秘密鍵を他人に知られてしまうと、資産を抜き取られる危険があります。他人が秘密鍵やパスワードの共有を要求してきた場合は詐欺を疑いましょう。
ウォレットのセキュリティ対策を高めるため、二要素認証を利用することも有効です。
仮想通貨の理解を深め十分に調査する
詐欺被害を防ぐ対策として、仮想通貨への理解を深めて十分に調査することが大切です。
多くの仮想通貨詐欺は、専門的な知識がなく理解が不十分である初心者が被害に遭っています。詐欺師は「期間限定」「今だけ割引」などの言葉で判断を急かすことがあるため注意してください。
投資する前に一度冷静になり、紹介された仮想通貨や取引所、サイトについて十分に調査しましょう。仮想通貨の理解を深めることで、詐欺師の言葉に惑わされず投資するか否かを判断可能です。
金融庁の登録やホワイトリストを確認する
金融庁の登録やホワイトリストを確認することは、仮想通貨詐欺に遭わないための重要な対策です。
日本の顧客相手に仮想通貨取引のサービスを提供する場合は、国内外問わず金融庁の登録が必要になります。金融庁の登録を受ける際は投資家保護の管理体制を整える必要があり、無登録業者は詐欺の可能性があるため危険です。
JVCEA(日本暗号資産取引業協会)が公開している仮想通貨の銘柄リストは、金融庁の審査を経ており「ホワイトリスト」とも呼ばれます。JVCEAは、暗号資産交換業および関連取引業の健全な発展と利用者保護を目的とした自主規制団体です。ホワイトリストが銘柄の価格上昇を保証するわけではありませんが、通貨の信頼性の確認が可能です。
参考:各種資料|一般社団法人 日本暗号資産取引業協会(JVCEA)
虚偽広告やコールドコールに注意する
仮想通貨詐欺の対策として、虚偽広告やコールドコールに注意しましょう。
コールドコールとは、まったく面識のない相手に商品やサービスのアピールをする勧誘行為です。知らない相手から突然仮想通貨に関する勧誘が来た時点で、詐欺を疑ってください。
コールドコールに限らず、詐欺師は虚偽広告によってターゲットを集めます。SNSやWebサイトなどで「絶対儲かる」「1ヶ月で○○万円稼げる」などと謳い、興味を持った相手を勧誘するため注意しましょう。
仮想通貨詐欺被害に遭った際の対処法
仮想通貨詐欺被害に遭った際の対処法は、以下のとおりです。
- 被害の詳細を記録・保存する
- クレジットカード会社や銀行に連絡する
- 国の相談窓口を利用する
- 警察へ通報する
- 弁護士に相談する
仮想通貨詐欺に遭った際の対処法を知っておくことで被害回復に向けて早急に動けます。
被害の詳細を記録・保存する
仮想通貨詐欺に遭った際は、被害の詳細を記録・保存しましょう。
詐欺行為に関する情報を残すことで被害回復に向けた対処をスムーズに進められます。保存すべき情報の具体例は、以下のとおりです。
- 詐欺師側の氏名・業者名・所在地・アカウント名
- 詐欺師とのやり取りの記録
- 振込口座や明細書
- 仮想通貨の取引履歴
仮想通貨はインターネット上でやり取りをするため、相手が逃亡する際に情報が消えてしまう恐れがあります。SNSやWebサイトの情報はスクリーンショットを撮って保存しましょう。
クレジットカード会社や銀行に連絡する
仮想通貨詐欺被害に遭った際の対処法の一つが、クレジットカード会社や銀行に連絡することです。
仮想通貨詐欺はクレジットカードや銀行口座を利用したり、個人情報が抜き取られたりするため、被害が膨大になるケースがあります。一時的にクレジットカードや銀行口座を停止することで被害の拡大を防げます。
詐欺師は入手した個人情報を同業者に売りつけることもあるため、ユーザー名やパスワードなどを変更することも重要です。
国の相談窓口を利用する
仮想通貨詐欺に遭った場合に利用できる国の相談窓口は、以下のとおりです。
- 消費生活センター(消費者ホットライン:局番なし188)
- 金融サービス利用者相談室(TEL:0570−016811)
消費生活センターは、消費生活全般に関するトラブルの相談を受け付けています。消費者ホットラインに電話すると最寄りの窓口に案内してくれます。
金融サービス利用者相談室は金融庁が設置している窓口で、電話や公式サイトなどから相談可能です。受け付けた相談に対する回答は原則電話で行われます。
国の相談窓口はあくまでも対処法のアドバイスをする機関であり、返金請求の代行には対応していないため注意しましょう。
警察へ通報する
仮想通貨詐欺に遭った際の対処法の一つが警察へ通報することです。
仮想通貨詐欺を警察に通報することで、犯人逮捕に繋がり被害の拡大を防げます。事件性が確認できる場合は、最寄りの警察署へ電話するか直接出向いて通報しましょう。判断に迷う場合は警察相談専用電話(#9110)の利用がおすすめです。
注意点として、犯人の身元が不明であったり民事事件だと判断されたりすると警察は対処できません。警察の目的はあくまで犯人逮捕であり、被害金の回収には対応しないことにも留意してください。
弁護士に相談する
仮想通貨詐欺に遭った場合の対処法として、弁護士に相談することをおすすめします。
仮想通貨詐欺の被害金を取り戻したい場合は、法律の専門家である弁護士のノウハウや経験に基づいた交渉力や迅速な対応が有効です。
弁護士に相談することで、中立な立場から返金の可能性を判断してもらえるだけでなく対処法のアドバイスをもらえます。詐欺師との交渉や裁判所手続きの代行などの対応も一任でき、被害者の心理的負担も軽くなります。
弁護士はそれぞれ専門分野が異なるため、相談する際は仮想通貨詐欺をはじめとする投資詐欺に強い事務所を選びましょう。
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