仮想通貨詐欺の被害に遭った場合、弁護士や警察に相談することが返金成功のポイントです。注意が必要なことは、警察だけに相談しても返金の可能性は低いという点です。
今回は仮想通貨詐欺の返金相談先で警察を選択する際の注意点や、弁護士に相談すべき理由について解説します。被害金を取り戻す方法や準備すべき内容についても紹介するため、被害金を取り戻す際の参考にしましょう。
仮想通貨詐欺の返金相談先に警察は向かない?
仮想通貨詐欺の返金相談先に警察は向いていません。警察を利用して返金するには、詐欺被害が刑事事件と認められる必要があるためです。
警察に刑事事件と認められるには詐欺被害を詐欺罪として立証する必要があります。実情として詐欺罪の立証は非常に困難です。
しかし、警察に相談する目的は詐欺罪の立証以外にもあります。警察に相談する目的やメリットを理解し返金成功の可能性を高めましょう。
民事不介入の原則
仮想通貨詐欺は民事不介入の原則に該当する可能性が高いため、警察への相談は向きません。
民事不介入とは、個人間の争いが犯罪と認められない限り警察は介入できないという原則です。犯罪と認められない争い(民事事件)は、一般的に裁判所や個人間で解決する必要があります。
例えば、詐欺師Aが被害者Bに対し詐欺行為を働いたとします。Bは警察に対し「Aから詐欺被害を受けた」と被害届を提出しました。しかし、Aの詐欺行為の証拠が不足していたり詐欺罪の成立要件を満たしていなかったりすると、Bの被害は刑事事件と認められないケースがあります。
刑事事件と認められなかったAとB間のトラブルには、警察は介入できない結果となります。
詐欺罪の立証が困難
仮想通貨詐欺は詐欺罪の立証が困難であり、刑事事件化できず警察は対応できません。
詐欺罪の立証が困難な理由は、成立要件の「欺罔」が証明できないためです。
成立要件 | 内容 |
欺罔 | 加害者が相手を騙そうとして行為をはたらくこと |
錯誤 | 個人間の認識違いを被害者が気付いていないこと |
処分・交付行為 | 欺罔または錯誤により、被害者が財産が処分・交付したこと |
利益・財産の移転 | 欺罔または錯誤により、被害者が財産を第三者に移転させたこと |
成立要件のすべてが因果関係にあることが詐欺罪の大きな特徴です。
「欺罔」は、詐欺師が「自分は相手を騙すつもりがなかった」と詐欺行為を否定すると、詐欺罪の成立要件を満たせません。詐欺被害を詐欺罪として立証するには、「詐欺師が詐欺行為を意図して行ったこと」を証明する必要があります。
警察に相談するメリットとは
警察への仮想通貨詐欺の相談を行うメリットは、以下のとおりです。
- 詐欺師を逮捕する
- 示談による被害金を受け取れる
- ほかに被害者がいれば捜査してくれる
- 振り込め詐欺救済法の利用ができる
警察が被害届を受理して告訴状を出した場合、詐欺師は告訴を取り下げるために示談交渉してくるケースがあります。示談交渉に持ち込めれば詐欺師から示談金を受け取れるでしょう。また、複数の被害者から同一詐欺師による被害届が出されれば、刑事事件化し捜査してくれる可能性が高まります。
そのほか、振り込め詐欺救済法と呼ばれる詐欺被害の返金制度を利用するために、警察に被害届を提出するメリットがあります。
仮想通貨詐欺で返金するための準備
仮想通貨詐欺の返金相談には、以下の準備をしましょう。
- 詐欺師の身元情報を集める
- 詐欺被害を証明する
- 詐欺被害の状況を整理する
警察や弁護士に相談する際に、詐欺に関する情報が不足していると返金対応してもらえないケースがあります。
詐欺師の身元情報を集める
仮想通貨詐欺の返金を求めるために、詐欺師の身元がわかる以下の情報を確保しましょう。
- 氏名
- 住所
- 勤務先
- 振込先の預金口座
- 連絡先
- SNSアカウント
詐欺被害を相談する際に詐欺師の情報が無ければ、返金交渉や返金手続きは行えません。
詐欺師の身元情報が分かる証拠として名刺や契約書などがあります。SNS上でやり取りをしていた場合は、アカウントやメッセージ内容などを即座にスクリーンショットで保存しましょう。SNS上でのやり取りの場合は、詐欺師にSNSアカウントやメッセージが削除される可能性があります。
詐欺被害を証明する
仮想通貨詐欺から返金を成功させるには、以下のような詐欺被害を証明できる情報が必要です。
- 被害に遭った預金口座やウォレット
- 詐欺師とのやり取り
- 詐欺師から送られらた投資サイトのURLリンク
具体的な被害内容が分からない場合、警察に相談しても対応してもらえなかったり訴訟で被害を主張できなかったりします。
詐欺師から仮想通貨の投資勧誘をされ、お金やウォレットを騙し取られた場合を例に挙げます。投資勧誘で被害に遭った場合、勧誘された際の言動ややり取りの記録は詐欺被害の証明として活用可能です。また、実際にお金やウォレットを騙し取られた投資サイトのURLや、自身の口座の出金状況なども証拠になります。
詐欺被害の状況を整理する
仮想通貨詐欺師の身元情報や詐欺被害の証拠を集めた後は、詐欺の流れを時系列順に整理しましょう。
時系列順に整理しておくと、第三者に相談する際に被害状況を分かりやすく伝えられるため、返金手続きや返金交渉がスムーズになります。詐欺師はお金を騙し取ると即座に姿をくらますため、迅速な返金手続きの実施が返金成功のポイントです。
詐欺被害後は、焦ってしまい冷静に行動することが困難なケースが考えられます。一人で抱え込まず、警察や消費者センターに問い合わせたり弁護士の無料相談を利用したりし、自身が何をすればいいかを把握することも一つの手です。
個人の力だけで詐欺師の身元情報や被害状況を整理できない場合、調査会社を利用する方法もあります。
仮想通貨詐欺の被害金を取り戻す方法
仮想通貨詐欺師から被害金を取り返す方法は、主に以下の3つです。
- 振り込め詐欺救済法
- 民事訴訟
- 刑事告訴
警察や弁護士に相談する前に返金方法をあらかじめ理解しておくと、今後の対応や行動方針がスムーズに決められます。
振り込め詐欺救済法
振り込め詐欺救済法は、警察への相談と振込先の金融機関に申請することで実施される返金方法です。
以下の流れで実施されます。
- 警察に被害届を提出する
- 振込先の金融機関に申請する
- 詐欺被害が認められたら警察が金融機関へ連絡をする
- 金融機関が振込先の口座を凍結する
- 凍結口座の残高に応じて被害額が分配される
振り込め詐欺救済法の注意点は、凍結時点で詐欺師の口座に残高が無かったら返金されない点です。詐欺師が口座から出金する前に即座に警察と金融機関に相談し、迅速に対応してもらいましょう。
振り込め詐欺救済法の詳細は、金融庁のホームページで確認可能です。
民事訴訟
仮想通貨詐欺師に対し、民事訴訟で返金請求する方法を検討しましょう。
民事訴訟は以下の特徴があります。
- 訴状に応じない場合は訴訟内容を認めたことになる
- 訴えられた人物は罪に問われない
民事訴訟の特徴を踏まえると、詐欺師は逃げ出すことなく返金に応じる可能性が高いといえます。詐欺師が訴状に応じない場合でも、被害者の訴訟内容が認められることから、最終的に返金に応じなければなりません。
民事訴訟の実施を検討する場合は、弁護士に相談してスムーズに訴訟手続きを進めましょう。
刑事告訴
詐欺師を刑事告訴した場合、詐欺師からの示談申し入れと、被害回復給付金制度の利用により、被害額を取り返せる場合があります。
被害回復給付金制度とは、犯人からはく奪した財産を金銭化し被害者に分配する返金制度です。注意すべきは、詐欺被害が刑事事件として認められる必要がある点です。
詐欺被害が刑事事件として扱われるには、詐欺罪の成立要件を立証しなければなりません。詐欺罪の立証は非常に困難です。また、被害状況や詐欺師の身元情報が十分でないと警察に被害届を受理してもらえないケースがあります。
刑事告訴を実施したい場合は、弁護士同伴で警察へ行き被害状況を明確に伝える必要があります。
弁護士に相談すべき理由
仮想通貨詐欺の返金相談を弁護士にすべき理由は、以下のとおりです。
- 返金成功の可能性を判断してくれる
- 返金手続きを代行してくれる
- 被害届提出の同伴を依頼できる
詐欺被害を受けてから返金手続きまで迅速に対応しない場合、詐欺師は逃げ出します。弁護士の力を借りて速やかに返金手続きを実施しましょう。
返金成功の可能性を判断してくれる
詐欺に強い弁護士に相談すると、仮想通貨詐欺や投資詐欺などの過去事例をもとに返金の可否判断をしてもらえます。
弁護士は過去の返金事例を把握していることから、被害者の状況に応じてとるべき手続きや対応についてもしっかり指導を受けられます。
何をしたらいいか分からない方や仕事や日常生活で時間がない方でも、弁護士へ相談することで効率よく返金手続きを進めることが可能です。
返金手続きを代行してくれる
被害金の返金手続きを代行してくれる点も、弁護士に相談する大きなメリットです。
仮想通貨詐欺や投資詐欺は内容が複雑で、投資初心者の方や知識が無い方では返金手続きに多大な時間を要するケースがあります。詐欺師は、被害者からお金を騙し取ると即座に姿をくらますため、返金手続きに時間を掛けてしまうとお金を取り戻せない可能性があります。
弁護士は返金手続き以外にも、民事訴訟や返金救済制度の対応もしてくれるため「自分には難しい」と感じたら一任することも可能です。
被害届提出の同伴を依頼できる
警察に被害届を提出する際は、弁護士に同伴依頼をすることでスムーズに話を進められます。
弁護士同伴で警察に行く際、弁護士は被害届とあわせて告訴状を作成します。告訴状とは、被害状況や被害の法的な問題点などを整理する書類です。告訴状があることで警察に被害状況をスムーズに伝えることができます。
また、警察とやり取りをする際に法的な問題について質問されても、弁護士同伴であれば戸惑うことなく対応できます。
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